[3]『モナリザ・オーヴァードライヴ』ウィリアム・ギブソン/黒丸尚 [MONA LISA OVERDRIVE] William Gibson |
『ニューロマンサー』、『カウント・ゼロ』に続く完結編。モリィにケイスにボビィにアンジィにフィンにレイデイ・ジェインにと今までのキャラクターの総決算。今までの混沌に一つの光を与え、また全てを渾沌に押し返す一撃だった。黒丸氏の訳も冴え渡る傑作。無意味さと意味を持つものの区別がだんだん曖昧になって割り切れない部分を楽しむという新しい面白さ感じる。スピード感と焦燥感と野心と神秘主義と世界の創世とが全て一つに結集して強烈な迫力を醸し出す。同時にとてもベーシックな部分で非常にSF的でハードボイルド。モリィはもう伝説のイコンとなっていてその言動はスタイリッシュで深みが底知れない。作者も自分の創作の力を超えたところで彼女を描こうとしたんだと思う。この三部作は面白かった。あらためて黒丸氏の訳業の見事さにも舌を捲いた。このシリーズはもう書き継がれる事はないと思うけどまだ『クローム襲撃』でこのスプロール世界を楽しめる。