ZOE TALKS ABOUT NAKED TRACKS

[1]収束、爆発、再生

HALが今のメンバーを迎えてバンドとして活動を始めて、約2年半。 リアレンジを重ね、ライブをやるごとにマイナーチェンジを重ね、バンドは強靱な肉 体を手に入れた。そしてこの世界でこのバンドにしか出せないサウンドを獲得した。 このメンバーの一人が欠けてももう同じサウンドにはならない。HALはこの2年の間 、嵐の時期を体験した。詳細はいずれ別の形で語る時が来るかも知れない。嵐を耐え てこのバンドは新しい生を手に入れた。
今回この作品を作るにあたって、僕達ははっきりした方向を定めた。今世界の誰にも 真似できないこのバンド・サウンドを真空パックしたかった。レコーディングにさけ る時間は5日間。それなら今まで何度もリハーサルを重ね、ライブで鍛え上げた曲を ストレートにぶつけようと思った。選曲は正直言って迷った。30曲以上あるレパー トリーの中から2年振りにリリースする、バンド初の音源を慎重にピックアップした 。今までリリースしてきたものと重複してもかまわなかった。僕達にとっては全てが 常に新曲だったから。今の気分で演奏したらそれはまた違う曲になる。
HEAVY METAL HAL、これがキーワードの一つだった。作品のタイトルは自分達の今の 裸の姿を何のコーティングもせずに伝えたかったから、NAKED TRACKS。

[2]録音

今回この作品はインディーとしてタワーレコードのバウンス・レーベルからリリース される。レコーディングにさける予算は限られていた。実際のレコーディングには5 日間をさくことが出来た。5曲収録だったら一日1曲仕上げる計算。メンバーのチー ム・ワークはバッチリ。作品まるごとメンバーを動員するのは初めてだった。でもう まくいくという確信はあった。ほぼ2年ぶりのレコーディング、同じく2年ぶりの日 本でのレコーディング、初めてのスタッフとの仕事、5日間で5曲をあげなければな らない状況。非常にスリリングだった。 エンジニアをやてくれたウッチーとアナイさんに感謝。 ミックスも終了して、マスタリング。最後の重大な作業。ここで間違えれば全てが台 無しになってしまう。アナイさんに相談して、L.A.のFUTURE DISCのことを教えても らう。マスタリングの予算はOK、しかし渡航費、滞在費は出ない。halと僕は自腹でL .A.に向かった。仕上がった作品は僕達の現在の裸のドキュメント。 全ての人の耳には馴染まない。なぜならこの作品は味わうには熱すぎるから。 でもこれを味わうパワーを持ってる人はいる。ソウルを感じて欲しい。

[3]曲について

[1]SIDEWINDER

この曲のオリジナル・ヴァージョンはHAL FROM APOLLO '69の2枚目のアルバム「SUC K MY BLOOD,BABY」に収録されている。オリジナルは完璧に作りこんだメタリックな チューン。今回この曲を選択したのは現在のバンドのサウンドを伝えるのに非常に的 確な曲だと思ったから。アッパーで切り裂くような勢いがあって何にも媚びないHAL の赤裸々な姿を刻み込めると思った。halの血を吐くような歌から始まってまずシゲ ソニックがビートをたたき出す。それをさらに補強する兄貴のベース。地の底から飛 び出すソリッドなリフ。ギターがヒステリックに呼応して、一瞬のブラックアウトの 後歌が始まる。halはこれを一気にワンテイクで歌った。

[2]HOWLING

純粋な新曲はこの曲のみ。これはバンドで3、4回あわせてすぐに今の形になった。 バンドが曲を解釈するスピードと深さは作ってきた本人でさえ驚愕する程で、バンド で演奏を始めると一瞬にして原石がとてつもなく禍々しい姿をした宝石に変わる。ha lの歌は天才にしか持てない緊張感を有している。halのパフォーマンスの全て、hal が歌っていないところでさえも彼女の息を感じる。halはあらゆるところに存在して いる。

[3]MINDGATERZ

アニキの異常な暴力的ベース・リフがブンブンと唸り続けるボディブロー的一曲。こ んな曲をやってるバンドは世界どこをさがしてもいない。燃えるソウルを持つhalの 野生の歌、それを有機金属的サウンドで支えるバンド。この曲のオリジナル・ヴァー ジョンは[1]SIDEWINDERと同じくHAL FROM APOLLO '69の2枚目のアルバム「SUCK MY BLOOD,BABY」に収録されている。もともとMINDGATERという言葉は、 「SUCK MY BLOOD,BABY」の前作HAL FROM APOLLO'69 の初の海外録音のミニアルバム 「MINDGATER」から採られてる。この言葉は造語で、心の扉を開く者という意味をこ めてつけた。このコンセプトが次作「SUCK MY BLOOD,BABY」製作の時、 一つの曲に結晶した。

[4]BELLZ

以前リリースしたシングル「ROKKET KHAOS」のB面的曲、「BELLS-4」をこれまた今の バンド・アレンジで練り直した一曲。疾走感、生への意志、全てをやがては飲み込む 死の影、それでもなお死を超えて生き残る何か。血まみれの腕をのばしてつかみとる べきもの。その意志。警鐘の音。

[5]BACKFIRE SHUFFLE

スリルは死と背中合わせで存在している。そして引き延ばされた生の中にも常に死や スリルはその危険な姿を現す。狂気はカテゴライズ出来ないところに、充満している 。型にはめられた狂気はある意味で安全だ。空気のように自分自身の中に自然に存在 する狂気。この作品の最後を飾るのは永遠に死に絶えないロックへのHAL からの賛歌 。halはヘヴィーメタル・エルビス。この曲のオリジナル・ヴァージョンはマキシ・ シングルでリリースした「BACKFIRE SHUFFLE」に収録されている。

HAL FROM APOLLO'69 IS BACK!