comics & books

[1]星野之宣『2001夜物語vol.1』『2001夜物語vol.2』
この人のマンガはイイ。まず重厚な内容に感心するし、無駄のない美しい絵に目を奪われる。この作品はハードSFの体裁をとりながらバラードもびっくりのインナースペースを描き出す。僕自身は基本的にハードSFは読まないしそれほど興味もなかったんだけど、この作品を読むと結局描き出そうとする世界観には共通したものがあると思った。「悪魔の星」にはhalがよく最近キーワードとして口にするpure evilのひとつの具現化された世界がある。読みごたえ十分の逸品。この人には全く駄作なし。

[2]ジャック・ケッチャム『ロードキル』
『隣の家の少女』に比べると軽目のテイストだった。でもこの人独特の痛い表現は随所に出て来て不気味な本。相変わらず動機も何もない悪者が登場する。バックグランドが全く理解出来ない殺人者というか異常者が出てくるのはアメリカという国故なのかな。理解出来ない狂気というか隣人の狂気を理解しようとしていないのかもしれない。とにかく読んでる方からすると、こいつ何考えてるんだろう?というヘンなヤツが殺人をくり返す話。

[3]石井隆 原作/たなか亜希夫 画『人が人を愛する事のどうしようもなさ』
たなか亜希夫は『ボーダー』以来ずっと好きなマンガ家。今アクションでやってる『軍鶏』も最高。この作品は情念の作家、石井隆が原作。これだけでもう買う価値あるのに、絵書いてるのが、たなか亜希夫と来たら絶対ゲットだ。おまけにこのタイトルが泣かせる。最近思うのは、やっぱり生きて行く最も大きなモチベーションは愛。実はこれはhalの受け売りなんだけど、僕もそう思った。愛が全てだ。そして愛は不条理。この作品もその言葉で言い切れない愛の狂気の一側面を切り取ってると思う。愛はスタイリッシュではない。愛は不様だ。だから美しい。

[4]高見広春『バトル・ロワイアル』
一気に読ませる魅力を持った本だった。この人の経歴、現在香川県で無職っていうのが妙にロックだと思って読みはじめた。ギャグ寸前の極端さと殺伐さはコミック感覚でそこがこの作品のパワーだと思った。ひとクラス全員分の人間を簡潔にしかし読者に想像させる膨らみを持って書いてるのは凄い。同時にこういうミニマルな展開はもしかしたら今の日本のスピード感なのかな。内容は、ある東洋の全体主義国家で年に一度行われる「プログラム」について。任意に選出された中学のひとクラスが一定時間以内で殺し合いをして生き残った者1人が家に帰れるというルール。荒唐無稽に感じられるこのスクリプトが読んでるうちに異様なリアリティーを持ちはじめて、入って行けば行く程恐ろしい本。でも今生きてる世界もこの本の世界と同じ。ただ時間が引き延ばされているだけで、結局自分が生き残るための殺し合いをしている。だからこの本は面白いんだと思う。ブルース・スプリングスティ−ンの『BORN TO RUN』の歌詞の引用が妙に泣かせた。最近涙腺緩い。