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BOOKS/COMICS



(a)安彦良和『アリオン』
漫画家、安彦良和の処女作。彼は元来漫画家ではないところから入っているせいか、他の漫画家にはない独特のテイストがある。それは普通のマンガに慣れた人には時にネガティヴな要素になり得るものだったりする。例えば動きの無さや絵の堅さなど。しかし一旦彼のペースに慣れると非常に個性的で他では味わえない世界を体験できる。また彼が取り上げる題材の独特さも、彼の世界を形成する一因になっている。例えば今回のようにギリシア神話を彼なりに解釈した作品や、日本の神話に材をとった作品、クルド族という日本人には一見なじみのない民族についての作品や、今ミスターマガジンに連載中の『王道の狗』のように明治初期の作品など。『アリオン』は処女作ならではの、のびのびとした雰囲気と勢いがあって好きな作品。

(b)三浦健太郎『ベルセルク』
現在まだ完結していない作品。情念が絵からほとばしる作品。こんなに絵で引き込まれたのは久しぶり。彼より上手な漫画家はいるだろう。しかし彼のように情熱と力を傾けて作品を描く人は少ないと思う。絵の感じは違うけど『キリコ』の木葉功一は近い情念を有してるかもしれない。とにかく画面に叩き付けられ、吐き出されたこの作家の気が凄い。『デビルマン』や『バイオレンス・ジャック』を描いていた頃の永井豪の影響や、『ヘルレイザー』からの影響を感じるけど、そういうのはどうでも良くなるようなパワーがこの人にはある。早く次が読みたい。

ンジャック・ウォマック『ヒーザーン』黒丸尚 訳/Jack Womack [HEATHERN]
この本を読むのは2回目。先月彼の『テラプレーン』を読んで、再読することにした。また訳者の黒丸尚氏が亡くなったというのを聞いて、彼へのトリビュートもかねて読んだ。前回読んだ時よりもさらに胸に迫るものがあった。彼の作品は確実に新しいなにかを扱っているんだけど同時にとても人間的なというか普遍的な宗教的感情がベースにあってそれが心を揺さぶる。彼の本がもうハヤカワの目録から消えてしまっていると言う事実は非常に残念だ。カルト作品のままで終わらせてはならない作品だと思う。彼の処女作『アンビエント』はいつ読めるんだろう?そして訳者、故黒丸尚氏の跡を継ぐのは誰だろう。彼の翻訳の素晴らしさを味わうためにもジャック・ウォマックは最良のテクストだった。彼の死を悼むと同時に僕は彼がこの作品の中至る所に存在しているのを感じた。そう感じられたのは救いだった。



















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