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BOOKS/COMICS 9811



(a) ジェイムズ・エルロイ“L.A.コンフィデンシャル”
『ブラック・ダリア』、『ビッグ・ノーウェア』に続くL.A.4部作の第3作目。この 本はL.A.滞在中に読んだ。ミーハーだよね。でも僕はこの作家が大好きだし、どうせ いく用事があるならこの際読もうと思って、持っていった。ハリウッド・ブールヴァ ード、サンセット・ストリップ、サンタ・モニカ・ブールヴァード、グリフィス・パ ーク、そして小さな無数のストリート。小説の舞台になってるのは50年代のハリウ ッドだけど、臨場感があって面白かった。これでL.A.4部作のうち3つを読み終えた けど、各小説に共通する登場人物や、前の小説の事件が一瞬顔を出したりこのシリー ズはソウルフルでかつエンターテイメント性も高くて感心する。最も作者の純粋な思 いがストレートに出てるのは第1作目にあたる『ブラック・ダリア』。彼が表現しよ うとしてる思いは彼のどの本にも共通してる。上手く言えないけどアウトサイダーに 対する複雑な感情、愛情と憎しみ。それと虚無感というか無常観。この2つが彼のモ チーフになってると思う。『ブラック・ダリア』は彼のモチーフがかなり色濃く出て る。『ビッグ・ノーウェア』はそのモチーフが娯楽性と絶妙なバランスを保ってて、 僕は彼の作品の中でこの作品が一番好き。読了後、1曲作ってしまった。『L.A.コン フィデンシャル』はそのバランスが少し娯楽に傾いた作品だと思った。逆に映画化さ れるのは比較的納得する。内容について、誰かと話したいけど僕の知り合いで、この 連作を読んでる人がいないのでこの気持ちをうまく分かち合えないのは残念。もしジ ェイムズ・エルロイに興味を持ったら、絶対『ブラック・ダリア』から読むべきだと 思う。というわけで4部作最終作『ホワイト・ジャズ』を帰国後読み始めた。でもこ れをよんでしまったらもうこのシリーズは読めないと思うと読み終わるのが怖い。こ んな気持ちにさせられたのは久しぶり。まあこれを読み終えてもロイド・ホプキンズ ・シリーズが3冊、『キラー・オン・ザ・ロード』というシリアル・キラーもの、『 アメリカン・タブロイド』と彼の作品はまだあるからいいかな・・・。

(b) ノーマン・マルコム著『ウィトゲンシュタイン 』
最近よく思うのは自分の人生をどういきるか、と言うこと。考えたって始まらない、 と言う人もいるけど、始まらない人もいれば、考えてヴィジョンを明確にするのが必 要な人もいる。僕はヴィジョンを持つことを重要だと考える人間。大金持ちになるこ と、名声を得ること、家族を持って自分の血を繋げていくこと、色々な選択枝がある 。誰かに自慢するために人生は使いたくない。他人に優越感を持つために人生は使い たくない。僕には音楽があって、音楽に入れ込んでいる時が一番幸せだ。ウィトゲン シュタインは哲学に殉じた一生を送った。彼の生きていく動機はそういう意味で明確 だった。でもその光はきっとあまりにも強くて、それ故に通常の人生からはかけはん れた一生を送った。自分の信じるものに純粋であろうとした彼の姿に感じるものがあ った。

(c) ジェイムズ・エルロイ『ホワイト・ジャズ』
ついに読み終わってしまった。寂しい。こんな気持ちにさせられるなんて彼のこ のL.A.4部作は凄すぎる。この本の最後のページを読み終わったときには衝撃を感じ た。この作家ほど人間を描いてる人がいるだろうか。クライム・ノヴェルの形を取っ てるけれどこれは巨大な人間ドラマだと思う。4部作全体の中ではこの作品はエンタ ーテイメント性を高く保ちながら非常に詩的な作品だった。最後の最後まで作家のモ チーフが貫かれた作品だった。今回は一人の語り手によって話しが進んでいくという 点で『ブラック・ダリア』に近いアプローチが取られていたけど、『ブラック・ダリ ア』が小説という形式にこだわっていたのとは対照的にこの作品は時にシナリオやコ ミック的なある意味アヴァンギャルドな文法が駆使されて、それがスピード感と、同 時に独特の余韻を残す。4部作を通して通り過ぎって行ったキャラクター達に思わず 気持ちが入ってしまい、読み終わった後も彼らの軌跡が心に焼き付いている。


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